オレは(の)から莫大な遺産を受け継ぎました。 碇マダオくん、ゴラさん、そしてモバ校のみなさんという、 オレが生涯使い切ることができないほどの遺産を。 みなさんこんにちは、HANZOです。
1月8日 この日は(の)のお通夜だった。
この日の朝、オレは夢を見た。 会社(工場)で検査している夢だった。 だけどなぜか建物はオレの母方のおばあちゃんの家にそっくりだった。 ふと左斜め前を見ると、(の)がいた。 アイツは定時前の4:20頃に帰宅しようとしたので、オレは慌てて呼び止めた。
オレ「おい(の)、今日はおまえの通夜で明日は告別式なわけだが……もうおまえとは会えないのか!?」
オレはそう問い詰めた。すると(の)はいつも通りな感じで言った。 (の)「いや~? そんなに深く考えることでもないんじゃね? また会えんじゃねーの、多分」
そう言われた直後、オレは目が覚めた。
目が覚めた後の、絶望感と言ったら、半端じゃなかった。 全身だるくなって、涙があふれてきたのを覚えている。
PM4:10 自宅に自分の両親を呼んでおいたので、オレは二人に娘を預け、カミさんと向河原へ向かった。 この駅から徒歩十分ぐらいの所に(の)の自宅がある。 そしてオレはカミさんを連れて(の)の家にやってきた。 数々の思い出が過ぎる。
そういえば、家の中の明かりが点いていたな。 お母さんがつけっぱなしにしていたのだろうか?
名残惜しいが、オレは会場へと向かった。
少しばかり道に迷ったが、なんとかお寺さんに到着できた。
PM5:30
オレは受付を済ませ、葬儀会社の人に言った。 故人のお母さんにお渡ししたいものがあるのですが、と。 受付を終えた後、オレはお母さんと対面した。 恐らく8年ぶりだろうか。
オレは持ってきたDVD-ROMとUSBメモリ(中身は同じ)、プリントアウトした写真を入れたアルバム、 そして自分の連絡先を書いた自作の名刺を渡した。 (の)のお父さんとお母さんの泣き顔なんて初めて見た。 これが……アイツの結婚式での嬉し涙だったらどれだけよかったことだろう。
オレはしばらくお二人と話をさせていただいた。 そして……お父さんのご厚意でお棺の中にいる(の)の顔を見せていただけることになった。
……足が震える。
……イヤだ、見たくない。
……そうだ、ここでドッキリでしたって言うんだろ? そうだろ?
……は、早く誰かネタ晴らししてくれ!!!
そんなことを考えながら、オレは棺に近づいた。
……いた。
なんだ、寝てるんじゃないか? ちょっと顔ほっそりしているけど、寝てるだけだろ?
オレは言った。 オレ「(の)、起きろよ~。寝てるんだろ? お~い……」
返事なんか、あるわけがない。
…………………………アイツは死んだんだから。
うわあああああああああああああああああああああああっ!
気付いたら、オレは親族が座る椅子にフラフラっとしながら座っていた。 とめどなく溢れる涙がとまらなかった。
何度も、(の)のお父さんとカミさんに優しく肩をぽんぽんと叩いてもらった。
でも、オレの口からはうわごとのような言葉しか出なかった。
『なんで死んだ! なんで死んだ! なんで……なんで……』
しばらく泣いた後、落ち着くためにタバコを吸いに行った。 そのあと、トイレを借りた。
トイレから出てみると、すでにずらっと参列者が並んでいた。
オレはここでダンナやシンちゃんと会った。 ジュンもいた。G藤もいた。 高校の時の担任だったM田先生も、副担任だったS藤先生もいた。 そしてモバ校のみなさんとも会えた。
知っている人も多いが、オレは去年の2月に鬱病と診断されている。 精神的ショックのせいだろうか、かなり胃が痛くなってしまった。
しばらく受付横で休ませてもらったあと、オレはご焼香の列に並んだ。
するとその時偶然、居酒屋ちょんまげの店長、ヤンさんと会った。 電話した時は会場の住所しか伝えられなかったけど、無事に来られたことに安心を覚えた。
しばらくヤンさんと会話をしながら焼香の列を待った。 そしてご焼香。……また、涙があふれてきた。
お焼香を済ませた後、みんながいるであろう食事をするところへ移動した。 その時、昔のバンド仲間のあっちゃんの姿を見た。 彼もまた、無事に来れたらしい。ただ、用事があったらしく、すぐに帰ってしまったけれど。
ふと、ダンナの姿がない。 シンちゃんに聞くと、喫煙所にいるという。
オレはヤンさんをつれて喫煙所へ。 ようやくダンナとヤンさんが対面できた。
しばらく話をしたあと、オレたちは食事をするところへ。
同級生たちとしばらく話をしたあと、オレは碇マダオくんを見つけた。 彼はいつも明るい。オレの気持ちが少しだけ、楽になった。 なんだ、コイツ? 癒し系なのか?w
そしてモバ校の人たちとも正式に挨拶をすることができた。 みふぃさんとも、久しぶりの再会。 最後に会ったのがいつだったかも覚えていないぐらいだ。 っていうか、みふぃさんって、あんなにイケメンだったっけ?w
しばらくして、オレはまたタバコを吸いに行った。 すると、和尚様の読経が終わった直後だった。
……友人をお母さんに紹介するのは今がチャンスだ、って思った。
オレは慌てて碇マダオくんとUほさんを呼んだ。
少しお邪魔だったと思ったが、友人を何名か紹介させていただいた。 気付けば、何人もの友人が(の)の棺の前にいる。
あぁ、(の)にはこんなにたくさんの友達がいたんだな、なんて思っていたが、 同時にここにいる人たちはオレの友達でもあるんだってことを思い知らされた。
ダンナや、あとこの日来れなかったもぐたんとかが、オレの精神状態をかなり心配してくれていた。 だけど、この仕事……(の)のご両親に友人たちを紹介する、ってことはオレにしかできないことなんだ。 BAKARA=SEA、同級生、会社の人、モバ校のみなさん、そして(の)のご両親…… すべてに接点を持っているのは、(の)以外にはオレだけ。 正直、もうすでに限界は超えていたけれど、オレが倒れたら、誰がこの仕事をできるんだ! オレはそう自分に言い聞かせながら、なんとかみんなを(の)のご両親に紹介することができた。
みんなは、お焼香の時に見ることが出来なかった棺の中の(の)の顔を見て行った。 当たり前だけど、みんなつらそうだった。 やっぱり、泣き出す人もいた。
……オレは、もう見ることができなかった。 見なくても、オレの脳裏にアイツの顔は焼き付いている。 頬はやせこけ、無精ひげもそのままに。 そしていつもかけていたメガネはない。
人間、死ぬと表情が変わるってよく言われるけど、本当だって思った。 だけど、間違いなく(の)本人だった……。 信じたくないけど。
挨拶を終えたオレは、再び食事をするところへ。 もうフラフラで、シンちゃんの肩を借りて歩いていた。 すでに胃が痛くてしんどかった。
食事するところに戻ったら、カミさんに「無理しやがって」とか言われたっけ。 今、無理しなかったらいつ無理すりゃいいんだつーの。
しばらくして、ようやく気分が落ち着いてきた。 好物の寿司をいただくことにした。 食欲がなくても、うどんと寿司は割と食えるんだ。
ふと、ウニの軍艦を見た。 そういえば、回転ずしに行った時に(の)の前にシンちゃんがウニの皿おいて (の)「うわぁああ! 俺ウニだめなんだよぉ!!!」 って、叫んでたことがあったっけ。 なんか昨日のことみたいだ。 結局、ウニときゅうりが一緒に乗ったのが食えるのはBAKARA=SEAでオレだけなんだっけ。 色々思い出、蘇るなぁ。
食事をしながら碇マダオくんと話をした。
どうやら、(の)の死因は『敗血症』だったとのこと。 高校の時から糖尿病を患っていて、なおかつ風邪をひいてしまったらしい。 体力が著しく低下すると、ショック死してしまうこともあるという。 まぁ、オレは医者ではないので詳しくはネットで調べてほしい。
碇マダオくん曰く、最近は視力の低下も悪化してきたとのこと。 もしかしたら、片目はほとんど見えていなかったんじゃないだろうか? とも言っていた。 そんなに悪かったなんて、全然知らなかったから唖然とした。
アイツは高校生の時から、明らかに体調が悪そうだぞ、医者に行けよ、って言っても (の)「いやいや、大丈夫だいじょぶ」 の一言で済ませるヤツだった。 ほんっと、誰の言うこともきかないヤツだったよ。 そういえば、以前よく見たインスリン注射も最近はやっているのを見なかったな。 碇マダオくんの話だと、もう二年ぐらいやってないとか言ってたし。
おまけにアイツ、甘いものが好きだった。 酒も主に甘いものばっかりだった。 ジーマ、カルピスサワー。 そして最近は杏露酒ソーダばっかり飲んでたっけ。
もぐたん以外のモバ校のみなさん、そういや(の)の好物しばりで お通夜の後にちょんまげ行ってたみたいだけど、杏露酒は知らなかったのかな?
まぁ、こんな食生活ばっかり送っていた上に、 傾いた家で独り暮らしだったんだ。
………………こんなことになるんなら、独り暮らしするって言った時に猛反対するんだった(涙
悔やんでも悔やみきれない。
お通夜の話に戻る。 ダンナ、シンちゃんが帰ったあと、S木の兄やんがやってきた。 彼は高校の先輩であり(当時面識はなかったが)、オレの現在の職場の先輩である。 そしてよくちょんまげで笑い話を繰り広げていた人だった。
しばらく食事を続け、話をした後、オレは一服して会場を後にした。 残っていたのは、オレとカミさん、S木の兄やんと碇マダオくん、そしてモバ校のみなさんだけになっていた。
ざっと150人ぐらいいた参列者は、いつのまにか皆帰っていた。 えらく寂しい風景だったのを覚えている。
オレたちはそのまま会場を後にした。 そして駅でみんなと別れた。
上に書いた通り、モバ校のみなさんは思い出の店「ちょんまげ」で アイツのことを肴に飲み会をしていたらしい。 オレも次の日休みだったら、参加したかったんだけどな。
もっとも、家には娘と両親がいるので、どのみち無理だったかもしれないけれど。
そして次の日、1月9日。 告別式の日。 友人の何名かは火葬場まで行ったようだった。 オレはこの日、どうしても仕事を休めなかった。
まぁ、火葬されたアイツを見たら、今度こそ精神的に最悪になってぶっ倒れてしまったかもしれないので、 きっとこの方がオレのためだって、神様がオレに与えた運命なんだろう。
もしくは、これがシュタインズ・ゲートの選択、ってやつだw
ちなみに昼休み終わりの時、オレはお寺の方向に向かって合掌した。 生まれ変わったら、またちょんまげに行こうな、って思いながらwww
さて、当日のお話はここで終わりです。 ここからは未来のお話をしたいと思います。
ひとりの大親友を失った代わりに、オレはたくさんの友達との絆を深めました。 まだ会ってから数回の方もいるので、そんな方を友達と呼ぶのも失礼かもしれませんけれどね。
そういえば、ツイッターもにぎやかになりました。 ずいぶんフォローとフォロワーが増えました。 これも、(の)のおかげだと思っています。
そして、オレはここで提案したいと思います。 BAKARA=SEAは永遠に5人です。 ダンナ、ハヤト、ハンゾウ(オレ)、シンちゃん、(の)。 この5人でBAKARA=SEAであることに変わりません。 だけど、もう(の)は来られない。 さみしい思いをしながら4人だけで飲むのはつらいと思う。
だから、オレは碇マダオくんを『第6のメンバー』として迎え入れたいと思います。 ……こらそこ、XJAPAN? とか言わないw
ダンナとシンちゃんは賛成してくれました。 そして、この文章を打っている今、ハヤトからメールの返事をもらいました。
碇マダオくんを、正式にメンバーとして迎えようと思います!!!
まだ、オレはしばらく心沈んだままですが、もう少し経って落ち着いてきたら、 また『ちょんまげ』で飲みたいと思います。
通夜当日、オレの体調を心配してくださった方々、本当にありがとうございました。 なんとか今、オレはギリギリの所で生きている感じです。 でもまだ死にたくないんでw よく冗談で、オレはアイツにこう言いました。
オレ「オレは200歳まで生きる!!!」
こんなくだらない冗談が、アイツは大好きでした。
いつかまた、みんなでちょんまげで大声で笑える日が来るのを祈っています。
だけど、しばらく泣かせてください。
な、もういいだろ? (の)よ。もうオレ限界なんだからさ。 泣かせてくれよ……な。
最後に。
しばらくの間、天国でひとり寂しい思いをするかもしれないが、 数十年経ったら、うんと賑やかにしてやるよ、(の)。 だからそれまで……世界中を旅してみるといいさ。
長文、失礼いたしました。